死なない
くじら企画『屋上のペーパームーン』
見終え、隣り合わせた知り合いの男に俺は洩らした。「大竹野は天才やね」。芝居の最後の方、頭上を飛行機が。リーダー格の男が「なにが革命なもんか」と吐きすてるように。赤軍派による、〈よど号〉ハイジャックだ。ここに、作者大竹野正典のメッセージが突出する。会場から外階段を降りる。踊り場で挨拶する演出の後藤小寿枝に、俺はまた「大竹野は天才やね」と口走った。こんなこと言っても、彼女が喜ぶとも思わないが、それしか出てこないのだ。
大竹野とよく喋った、舞台を幾度か共にした。そして、その際にはきっと場末の酒席がついて回った。その間、彼を天才と一度も思ったことがない。俺に見る目がなかっただけだったが、それにしてもその人がこの世からいなくなって、その人が形を表わすところが不思議であり、面白くある。俺は彼の何を見ていたのだろう、何も見ていなかったと振り返る。そして、〈大事なものは目には見えないんだ〉とサン=テグジュペリの『星の王子さま』にあったかなと思い起こす。
後日、くじら企画のホームページに「無事に閉幕いたしました。代表で演出の後藤小寿枝が『台本を書いてくれた大竹野正典に献杯!』言うて、打ち上げに入りました」。
いつか、大竹野が言っていた。「ぼくの書いた作品で客を呼べないものか」と。その時俺は、それはむつかしいと首を傾げた。しかし、俺は間違っていた。あなたの作品がいいから、演者は乗って行け、客もダブルコールする。ああ、この前の魔人ハンターミツルギの作品『ロマングースの神様』もそうだった。
生まれ出たものは死なない。



「25年分若さが減ってシワが増えたわけである。しかし若さとともにワクワク感が減ったかといえばそうでもない。年とってもワクワクしたっていいんじゃないか。われらにだって明日は来る」。
見終え、隣り合わせた知り合いの男に俺は洩らした。「大竹野は天才やね」。芝居の最後の方、頭上を飛行機が。リーダー格の男が「なにが革命なもんか」と吐きすてるように。赤軍派による、〈よど号〉ハイジャックだ。ここに、作者大竹野正典のメッセージが突出する。会場から外階段を降りる。踊り場で挨拶する演出の後藤小寿枝に、俺はまた「大竹野は天才やね」と口走った。こんなこと言っても、彼女が喜ぶとも思わないが、それしか出てこないのだ。
大竹野とよく喋った、舞台を幾度か共にした。そして、その際にはきっと場末の酒席がついて回った。その間、彼を天才と一度も思ったことがない。俺に見る目がなかっただけだったが、それにしてもその人がこの世からいなくなって、その人が形を表わすところが不思議であり、面白くある。俺は彼の何を見ていたのだろう、何も見ていなかったと振り返る。そして、〈大事なものは目には見えないんだ〉とサン=テグジュペリの『星の王子さま』にあったかなと思い起こす。
後日、くじら企画のホームページに「無事に閉幕いたしました。代表で演出の後藤小寿枝が『台本を書いてくれた大竹野正典に献杯!』言うて、打ち上げに入りました」。
いつか、大竹野が言っていた。「ぼくの書いた作品で客を呼べないものか」と。その時俺は、それはむつかしいと首を傾げた。しかし、俺は間違っていた。あなたの作品がいいから、演者は乗って行け、客もダブルコールする。ああ、この前の魔人ハンターミツルギの作品『ロマングースの神様』もそうだった。
生まれ出たものは死なない。
(9.27土曜日13:00 ウイングフィールド)
「25年分若さが減ってシワが増えたわけである。しかし若さとともにワクワク感が減ったかといえばそうでもない。年とってもワクワクしたっていいんじゃないか。われらにだって明日は来る」。
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