刺激的

 ジョルジュ・ミノワ(大野朗子・菅原恵美子訳)『老いの歴史 古代からルネサンスまで』(筑摩書房)
 図書館の本は2週間借りられる。他に借りる(予約している)人がいなければ、さらに2週間借りることができる。それ以上借りる(期日までに読み切れない)場合は、図書館へ現物を持って行き、いったん返却した上で前回同様の形で借りられる。この『老いの歴史』は、都合8週間借り、読み切った。407pの分厚い本ではあるが、途中投げ出す気にはならなかった。それが何故なのかよくわからないのだが、我が身に返ってくるのに引きつけられた。文中に引用されている言葉のひとつ。〈「しかもこの人生にはさらに無数の死の苦しみがある。それなのに人間はすべてを平等にする死を恐れておるのだ」(376p「第9章 16世紀Ⅰ」)〉、これはシェイクスピアか。
 
 こころネットKANSAI×DIVEプロデュース『あなたのとなりに』
 〈アルコール依存症〉をテーマに3作品。それぞれに別々の演出者・出演者が取り組む。その違いというか色合いが引き立っていて、刺激的だった。
「わらってゆるして」(作・横田修、演出・早坂彩)、「SALT」(高橋恵、橋本匡市)、「やがて窓辺にあかねさす」(杉山晴佳、中川真一)。
 演者では、杉江美生(「わらってゆるして」)らの腰がしっかりした芝居。三輪華蓮(「SALT」)の跳びはねるような。
 栞には、作者・演出者の弁が。短い文章でありながら固有のものが伝わってくる。演出(「わらってゆるして」)の早坂彩は、〈人や物に囲まれて生きていく中で、誰しも何かを<よるべ>にしているのだと思う〉。作(「SALT」)の高橋恵は、親の介護手続きで体験したことから。同作品の演出・橋本匡市は「距離感」。
(1.20月曜日13:00 ウイングフィールド)

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