もとめない

 駅へ着いた。コンビニに入って缶コーヒーを買う。店隣りの小さな公園で飲んだ。さて、行くかと歩き出す。通りかかった、空き缶を詰め込んだ1㎥以上あろうそれを積んで、自転車を引くまだ若く見える男。私の顔見て、「タバコ持ってない?」。私は、「タバコ吸えへんねん」。男はまた、「暑いからな、ビールもすきやねん」とねだる。私は男から離れながら、「タバ…

続きを読むread more

回顧録

 連絡を受けて翌日、糸川燿史写真展『回顧録』を見に行った。月並みな言い方をすれば、圧倒されてしまう。スペースはこぢんまりとしている。だから単純な量ではなく、熱量や奥行きというもの。胸苦しくさえなる。それは私が糸川に近づきすぎていたからか。展示会場内を仕切っている息子仁史はいう。「ある距離をとっていれば、ちょうど見やすいのですが」。私は、…

続きを読むread more

ぐずぐず

 『美と殺戮のすべて』  術後の鎮痛剤としてオピオイド。その中毒となり、回復した写真家ナン・ゴールディン。  冒頭、美術館への抗議活動。サックラー一家から寄付を受けるな、館内から一家の名を消せ。  ナンへのインタヴュー。姉に可愛がられた、母のように。実際の両親は子育てができる人ではなかった。施設にやられた姉は自死する。写真との出会…

続きを読むread more