高校を出て

 『アラバール戯曲集1 戦場のピクニック』(若林彰訳 思潮社)  高校を出て、フェルナルド・アラバールの『ゲルニカ』をやろうとした。ファンチュウとリラの年老いたバスク男女がメインの芝居。私は、この二人がいればできると思った。セリフさえ喋れば芝居は成り立つものと想像していた。在校時からの友人が、私の相手役として、別の同窓の女に声をかけて…

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まみえる 坂本長利「土佐源氏」

 坂本長利を見たのは、1976年6月心斎橋パルコで上演された『土佐源氏』が最初だ。2度目は、92年12月ウイングフィールドでの同じく『土佐源氏』の舞台だった。私は坂本長利をこの二つきりの芝居でしか知らないのだ。しかし、坂本長利というホンモノに二度もまみえることができたのは大きかった。  「たった一人のお芝居」チラシ B5 (76年…

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はもめも 神戸三昧

 風斜『帰還、マルタンゲールの』  開演前に、演出の日下部佐理が告げる。「いつも言われるんですけど、長いと」と前置きして、「上演時間2時間40分です。1時間40後に休憩を入れまして」。そして、見た、会場を出る際、私は日下部に「よかったよ」と言い、彼に手を差し出した。彼は、スッと応じ握手してくれた。荒れたごっつい手の温かい感触が残った。…

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