待つ

 遊気舎『夏至を待つ』、タイトルに惹かれた、抒情的な。チラシ裏に芝居のさわりがある。「生まれ住み慣れた街に居続けていた祖母・雪江」「ただ〈寝て、起きて、着替えて、食べて、また寝る〉。どこにも行かず、一人で何かがやって来るのを待ち続けていたのだろうか」あ、これは魔瑠だ。魔瑠のばあさん、見たいと思った。  前のめりに歩幅小さくツツツと。魅…

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黄昏ワルツ

 その日午後4時にウイング下の、5階DIVE事務所へ行った。そこにある芝居資料を見るためだ。用を済ませドアを開けると、エレベーターホールのところで後藤小寿枝のにこやかな顔。俺は彼女に「5時の回に見に来ます」と。続けて、「芝居の資料を探しにね。小劇場史研究をライフワークにしているもので」。聞かれもしないのに俺は嬉しそうにべらべら喋る。後藤…

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資料集 演劇宣言86

 原稿を渡した場所が大淀勤労青少年ホームで、取りに来たのは未知座の打上花火だったか。『演劇宣言86』が出された後、この出版物について会合があった。どこでだったか、ぼんやりしている。居合わせた者はおそらく原稿を書いた面々で、松本雄吉が評めいたことを語っていた。記憶は切れ切れになってゆくが、書かれたものは残っている。  『演劇宣言86』は…

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