あいまいで

 大阪劇団協議会プロデュース『トロイアの女たち』、登退場が面白い。出てきて、語り、語りおえれば去っていく。その気配や佇まいが劇。  当日パンフで、演出者キタモトマサヤより〈今や死と隣り合わせで生活していることが、わが身をもって身近に感じられる時代である〉〈これを書いている今、本当に上演できるのかさえ不透明である。無事に今、劇場に居させ…

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生き延びる

 小狐裕介『3分で楽しい!“動物”ショートストーリー』(辰巳出版)  21篇のショートストーリーのうち、「雪うさぎのいる町」。春になれば、溶けて消えてしまう雪うさぎ。冬の間、少女はそのうさぎと親しく遊び、ミミと名付け、耳飾りをつけてあげる。しかし、春がやってきて、ミミは耳飾りとともに姿を消す。少女は、母親に嘆く。母親は言う。「雪うさぎ…

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生きてあることの

芝居を見に行った。おわって、阪急吹田駅。先ほど、見てきた客同士が、私の側で話している。聞いた声にふり返り、その横顔をうかがう。昔々の芝居仲間と、ダンスの先生だ。大げさだが、生きているうちに会えるとは思っていなかった。だから、うれしく、梅田まで電車のシートに腰かけ、このご時世、マスク越しに抑えてしゃべり合った。先生が「ちょっとマスク外して…

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