遠くを 2020年05月22日 吉田留三郎『まんざい風雲録』(九藝出版) 前3分の1は、「上方演芸昔ばなし」として演芸館や噺家、寄席囃子方・仁輪加師・消えゆく色物芸を描く。あと3分の2は「上方漫才の神々―砂川捨丸伝」。捨丸の一生を辿ることは、そのまま現在に至る漫才の歴史を解き明かすことになる。私は、テレビで見ていて、その間合いが面白かった。本を読むと、昭和46年10… 続きを読むread more
口演 上方芸人誌 2020年05月17日 桂米朝『口演 上方芸人誌』(堀江誠二構成 朝日新聞社 76.3.8発行) この本は、私が芝居というものに面白味を覚え出した25・6の頃に読んだ。そして、「芝居は生き方だ」という考えの発端にもなった。 一輪亭花咲へのインタヴュー。 ――京染め屋で仁輪加師ですか。 むかしの芸人は、ほとんどが商売してました。『後家殺し』の春団治は酒… 続きを読むread more
この世は 2020年05月08日 『古典落語 下』(興津要編 講談社文庫) 「御慶」から「子別れ」まで30本。そのなかで、「らくだ」の噺が強烈だった。死体を背負い、それを踊らせる。早桶の底が抜け、焼こうとした死体がない。取って返して、橋の側で寝ていた坊主を見つける。「ああ、あった、あった。これだ」「うん、たしかにこれだ」。私は、これが実際に演じられているところに接して… 続きを読むread more