芝居屋さんの土曜日Ⅴ

２月中頃から、芝居を見に行くことはなくなった。気がつけば、２か月以上になる。 家のトイレで、オシッコしながら思う。それでも人生は続く、と。そんなタイトルの映画があった。その映画のセリフに、「地震があって、貧乏人も金持ちもなくなった」。いままで、直接人と接することで自らを育んできた。それが互いにマスク越しにビニールシートを挟んでの日々。…

『古典落語（下）』（興津要編　講談社文庫）を読みはじめた。登場人物は、知ったかぶりで、欲深く、こりず、見栄っ張りの、そそっかしく、いじましい。これは、己のこととたいへんためになる。人の面白味、時を経ても変らない。変わらず、あり続ける面白味。

地下鉄改札口前を通る。ひっそりしている。掲示板には、行楽やイベント案内のポスターがあって、その上から「外出を控えるよう」の貼り紙。それを、私は携帯のカメラに収める。収めきれるはずもないこの世でありながら、ボタンを押す。