無茶せんと

 駅に着く。階段を上がって、改札口を出る。職場へ向かうのだが、しんどくなってしまった。こんな風になるのは、はじめてだ。歳を取るということは、こういうことか。そして、いつまで働けることかと思いが及ぶ。働けなくなれば、身体を動かすという機会も減るのではと。すると、退化していくだろう。だから、いまのうち、懸命にやろう。果てるときは、…

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咲く

 とみに足取りが遅くなった。人がずんずん先へと行く。からだの取り戻しが効かなくなった。人が遠くなる。遠くなっても、私も人のうち。この光景を目にすることができる、それを喜びとする。衰えを励みにしよう。負け惜しみにも意地が咲く。  引っ越したばかりの我が家に、妻の姉が来てくれた。泊まってもらった翌日、その姉の希望で…

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記録と俺

 自身の舞台記録を整理している。チラシ・タイムスケジュール・栞・チケットなど。予算・決算・動員記録は別ファイルに収める。  整理しながら、楽しかったなあ、と思うことはまれだ。大方は苦い気持ちが湧き立つ。「ひどいこと言ったなあ」「さんざん甘えていた」「何も知らなかった」「申し訳ない」「恥ずかしい」と限りなくあふれ出し…

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